2010年04月12日

マダラツチカメムシはハルニレの種子を運ぶ

日本産のモンツチカメムシ亜科には,
4つの種が報告されています.

 フタボシツチカメムシ Adomerus rotundus
 ミツボシツチカメムシ Adomerus triguttulus
 マダラツチカメムシ Adomerus variegatus
 シロヘリツチカメムシ Canthophorus niveimarginatus

これら4種のなかで,
繁殖生態が最後まで謎だったマダラツチカメムシの
繁殖行動の一端を明らかにした論文を,今年,
共同研究者の向井さんが中心となって出すことができました.

Mukai et al. (2010)
Maternal-Care Behaviour in Adomerus variegatus (Hemiptera: Cydnidae).
The Canadian Entomologist 142(1):52-56

マダラツチカメムシ1.jpg
(雌親にまとわりつく幼虫)

本種の雌親が地表に巣を造り,
巣の幼虫にハルニレの種子を給餌する
という極簡単な行動記載論文なのですが,
とても思い入れの強い論文になりました.

このカメムシ,4年ほど前から生態調査を進めていたのですが,
・ハルニレ種子を食べるらしいこと以外,生態が全く未知だったこと
・給餌行動が強く予想される分類群に属しているにも関わらず
ハルニレの種子がカメムシよりも大きく運搬できなさそうなこと
・繁殖に入る個体数の年次変動が非常に大きかったこと
・調査場所が奥日光というアクセスが大変悪い場所であること
・奥日光には温泉やら紅葉やら誘惑が多かったこと
などの要素が絡み合って,
ゆっくりと1つずつ謎解きをしていくような
研究の面白さを体験することができました.

その間,様々な方にお世話になりましたが,
特に現地を案内していただき
貴重な生態情報をお教えいただいたMさんには
心から感謝しております.有り難うございました.

マダラツチカメムシ2.jpg
(ハルニレの落果を口吻に付けて引きずるように持ち帰る雌親)

フタボシの給餌論文はまだ出ていませんが,
これで,本邦のモンツチカメムシ亜科のすべての種が
給餌を行うことを確かめることができました.
大学3年生の頃だったと思いますが,
「モンツチ全種の繁殖行動を調べてみよう!」と思い立ち,
それから15年が過ぎてしまいましたが,なんだか幸せです.
posted by 針山堀太郎 at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 魅力的なカメムシ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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