(Schmalfuss, H. (2003): World catalog of terrestrial isopods (Isopoda: Oniscidea). -Stuttgarter Beitrage zur Naturkunde, Serie A, Nr. 654: 341 pp.)
およびその2004年改訂版によると,
日本には現在,以下の7種のフナムシ類(Ligia属)が報告されています.
世界で記載されているフナムシ類は,36種ですので,
記載されたフナムシ類の2割近くが我が国で見られることになります.
日本はフナムシ研究者にとって夢の国なのです.
オガサワラフナムシLigia boninensis
キタフナムシLigia cinerascens
フナムシLigia exotica
ハチジョウフナムシLigia hachijoensis
ミヤケフナムシLigia miyakensis
リュウキュウフナムシLigia ryukyuensis
オナガフナムシLigia yamanishii
さてこのなかで,今回の小笠原調査の目的は,
小笠原固有の2種のフナムシ,
オガサワラフナムシとオナガフナムシでした.
特にオガサワラフナムシは山間部に生息する純陸生の種であるとされ,
ほとんどが海浜性の種として知られる
フナムシ類のなかでは特異な位置を占めています.
ただ,これまで小笠原諸島の数地点でしか採集されておらず,
タイプ産地である母島では
最も新しい採集記録も7-8年前であることから,
もしかすると,絶滅している可能性もありました.
まだ母島にオガサワラフナムシはいるのか?
本当にオガサワラフナムシは山に生息しているのか?
半信半疑で母島の森へ分け入ったわけですが,
いた,いた,いました!オガサワラフナムシ!!(写真)
確かに山の上の礫間でちょろちょろしています.
感激です.
その後,広範囲を探したのですが,
その分布域は山の上にかなり限定されているようです.
本種は海浜性の種とはどのように異なっているのか?
どのようにして本種が純陸生に進化したのか?
これらの謎を明らかにできるよう研究を進めると同時に,
このような不思議なフナムシが住む小笠原の
貴重な自然を大切にしなければならないと感じました.
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